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Part II

NEXOがハイエンドSR市場向けに過去送り出した製品の中で最も特色があったと言えるのは、数あるライブ会場の中でも最も有名な会場の一つであるイギリスのGlastonburyフェスティバルのピラミッドステージで5年に渡りSSE社から供給され、同社を含む世界中の多くの会社に導入されたスレンダーなシルバーラインのGEO Tタンジェントアレイがあります。

“特許を取ったハイパーボリックリフレクティブウェーブソース(HRW)を採用したGEO S8の成功に手ごたえを感じ、我々は他の製品への採用を検討しました。“と当時を振り返りながらNEXOのエンジニアリングサポートディレクターFrançois Deffargesが語ります。”2002年に発表したのがフラッグシップとなるGEO Tアレイアブルシステムでした。“

“我々はラインアレイと言わずタンジェントアレイと呼びました。ほぼ同一の2つのキャビネットに同じコンポーネントを採用しながらも、それぞれ5°と30°の2種類の異なる初期波面アングルを生成することができました。これらのキャビネット間を17.5°にセットしてアレイを構成すると直線状の初期波面が形成されます。

“HRW”により垂直方向は0°から30°、そして最終的に45°、次に90°の範囲の曲率のキャビネットを構築することができました。 当時の競合他社はその能力を持っていませんでした。 ステージにフロントフィルを置けない場合でも、メインクラスターだけで最前列までサウンドを届けることが出来ます。 私たちはU字型を定義しました。これは、1つのクラスターでマイナス100mから0を含むプラス100mまでカバーできることを意味します。”

GEO M10の指向性を可変させるConfigurable Directivity Device(CDD)フランジ

GEO S8の開発過程で生まれたその他の重要なコンポーネントとして指向性可変デバイス(CDD)があります。これは2001年にNEXOのEric Vincenotが特許を取得しました。NEXOはHRWによって垂直カバレージのメリットを提供し、CDDによって水平カバレージに対処しました。

“水平カバレージは非常に困難です。”とFrançoisが説明します。“システムが0mから80mまでをカバーする場合、想像できるかと思いますが、距離が近いエリアには広いカバレージ、離れたエリアには狭いカバレージが必要となります。水平カバレージは、円錐ホーン、エクスポネンシャルルホーン、定指向性ホーンなどのホーンによって拡張されます。この拡張によってカバレージ全体における周波数特性が可能な限り一定を保つように正確に行う必要があります。

“ホーンには、スロートと拡張部分の断面の2つの領域があります。我々はGEO S8を水平カバレージ80°に設計しましたが、ホーンの中に2つのフランジを挿入することで、そのカバレージを120°に拡張できることを実現しました。これによって水平指向特性を可変できるというユニークな機能を追加することができました。NEXOはこれを実現した最初のメーカーで、その証として特許を持っています。”

指向性可変デバイス(CDD)は結合を必要としない水平面全体への音響カバレージを回折スロットを用いて制御します。CDDはユーザーが設定可能なネジ止め式のフランジを80°または120°のどちらかの設定で回折スロットに取り付けて使用します。これによって同一のスピーカーキャビネットで遠距離に必要な狭いカバレージから、近距離に必要な広いカバレージの指向性を生成することができます。フランジによってウェーブソースの動作全体を制御できるため、ラインアレイシステムのカバレージのギャップを埋めることができます。

“良い開発を行うと言うことは、正しい疑問を自分に投げかけることが全てだと思います。”とFrançoisは説明します。“1つのキャビネットで2種類の異なるカバレージを得られることは、我々のユーザーにとって大きなメリットであると感じます。例えば実際のレンタル会社の機材運用でフライング時の最下部に使用するためだけに広い指向性のキャビネットを導入することは非常に管理が煩雑になるため好まれないでしょう。しかし我々のCDDがあれば同じスピーカーキャビネットによって広い範囲の指向特性機能を使用することが可能です。”

François Deffarges, NEXOエンジニアリングサポートディレクター

これはNEXOラウドスピーカー製品に受け継がれ、最新のPlusシリーズにも見ることができます。ホーンフランジを交換することにより標準60°x 60°から90°x 40°または非対称の60°- 100°x 40°の指向性に設定することが可能になっています。1つのキャビネットで3つの指向性が選べるだけではなく、縦、横いずれの設置も可能なため選択肢は増加します。あまり知られてはいませんがNEXOは垂直、水平どちらでも使用可能なラインアレイシステムを最初に作ったメーカーです。“ほとんどの他メーカーは2つに分けている定曲率アレイとラインアレイを我々は一つのファミリーだと考えています。”

“過去20年に渡って、複数のNEXO製品シリーズの開発のスタートはHRWとCDDを前提に行ってきました。これらは優れた正確性、一定な周波数特性とSPLカバレージ、計算による予測と実際の結果間が極めて少ない差異になる。といったような性能が認知されています。”